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第29回 平成21年11月19日 藤崎慎吾『蛍女』

<あらすじ>人気のない山中の廃屋に放置された電話機から流れ出る声は、山を破壊して進められるリゾート開発工事の中止をITマガジン編集者・池澤亮に訴えた。電話の声の主が一カ月前にその山で消息を絶った女性と知り、蛍女の伝説と幼い頃慕った少女の面影を彼女に重ね合わせた池澤は、友人の植物学者・南方洋司と調査を開始する。なぜ、壊れた電話機からありえない声が語りかけるのか。浮かび上がってきたのは、人間の排除に動く「森」の恐るべき意志と、その手段だった。(朝日ソノラマ文庫紹介文)

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 非常によい本であったし新鮮であった。面白く読み進んだ。蛍、変形菌や植物の行動よりも、小説に出てくる「畠山重忠」「梁塵秘抄」「オーサキツキ」など歴史、古典、伝承に関することの方が興味深い。

 作者はこの小説を書くために多くのことを調査している。巻末には、植物、奥武蔵、山ノ神、梁塵秘抄、畠山重忠に関するもの等々多岐に渡る参考文献が掲載されている。(以下はwikipedia他からの引用)
【奥武蔵】小説に出てくる武持山、石那村中郷等は架空の地名であるが、首都圏近郊ということで奥武蔵辺りと推定される。奥武蔵は埼玉県西部・武蔵野台地の奥に位置する田園・丘陵・山岳地帯・地域で、武甲山(1304m)、小持山(1273m)、大持山(1294m)、武川岳(1052m)、二子山(883m)など、小説の舞台、武持山に似た名前の山々がある。
【オーサキ(尾裂)】山に棲む獣の妖怪。モグラくらいのサイズで、鼻から尾まで黒い筋のあるイタチのような姿とされ、尾が平らで二つに裂けていることから「オーサキ」と呼ばれる。「オーサキ」が憑いている家は「オーサキ」が富を呼び、他の家の畑の養分まで運んでくるので、そこだけ作物の出来がよいとされる。ただし栄えるのは三代までで、その後は衰退していくという。
【変形菌(粘菌)】「変形菌(へんけいきん)とは、変形体と呼ばれる栄養体が移動しつつ微生物などを摂食を行う“動物的”性質を持ちながら、小型の子実体を形成し、胞子により繁殖するといった植物的(あるいは菌類的)性質を併せ持つ生物である。」とあるがよく分からない。インターネットで調べてみると、日本変形菌研究会というのがある。
【南方熊楠】日本変形菌研究会のホームページに変形菌の研究者として和歌山県が生んだ博物学・民俗学者・南方熊楠が紹介されている。この小説の主人公、池澤亮の友人、南方洋二と同姓なのは作者の意図によるものだろう。1962年(昭和37年)5月、白浜町を行幸された昭和天皇は御宿所の屋上から神島を眺めて、南方熊楠を歌に詠まれているそうだ。
 雨にけぶる 神島を見て 紀伊の国の 生みし南方熊楠を思ふ

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