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第94回読書会 令和3年7月11日(木)栁美里『JR上野駅公園口』河出文庫

5月の読書会は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言期間中のため中止、7月は、まん延防止措置期間中であるが、何とか開催できた。
取り上げた栁美里『JR上野駅公園口』は、2020年の全米図書賞(National Book Award 翻訳文学部門)を受賞した作品だが、その割には、読書会での評価は低かった。フィクションとノンフィクションを取り交ぜた構成が、作品を分かりにくくしたようだ。

■上野公園周辺のホームレス老人の目を通して、彼を取り巻く通りすがりや仲間のホームレスとの関係と対比を横糸に、老人の生きざまの時間的経緯を縦糸に織りなす小説である。
主人公と同年齢である私は、時代背景等は共感できるが、他者からみればホームレスの人々が不幸で悲惨な状況の中にあるが、必ずしもそうでもないと思う。
老いが来るということは、社会から不必要であることを実感すること、あるいは実感させられることです。だから、作者のホームレスを題材としたこの作品が上っ面のものになったのは残念です。
全米で好評だったのは、日本人の宗教観や皇室感が庶民の目で描かれていて分かり易く、アメリカのホームレス問題とも対比できて高評価につながったと思う。
■フィクションとノンフィクションが混在しているため、分脈が捕らえにくい。主人公の底知れぬ悲哀、悲運への諦念、厭世主義はひしと伝わってくる。亡くなった一人息子は令和天皇と同じ誕生日。天皇の行幸で上野公園の山狩りに遭い、天皇家への怨嗟は深い。母親に「おめはよっぽど運がわるいんだべな」と言わしめる件は実感がこもる。
この小説は英文で読んだ方が分かり易いかも知れぬ。翻訳者泣かせの作品だったと思う。
■読んでいてストーリーの流れがつかめず、さっぱり分からなかった。最後に、主人公が生きているのか死んでいるのかも不明、訳の分からぬ小説だった。
■芥川賞作家らしく、表現力は見事だが、ストーリーの流れに起承転結がなく、ロンド形式の語りの手法がこの小説を分かりにくくしている。東京・上野駅のホームレスは大阪・天王寺動物園近くの彼らと実態が似ている。
■主人公の顔が見えず、苦労して読んだが、結局、文脈に乗れぬまま読み終えていた。ホームレスの実態は、芦屋・業平橋のたもとに小屋があったのでよく分かる。ホームレス稼業は1年暮らすのに10年分のエネルギーが要る、と関係者から聞いたことがある。
JR上野駅公園口
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