平成最後の読書会は、元号に絡む『天皇の影法師』を取り上げた。四編の作品を集めたこの評論集は、忠実に資料を漁った猪瀬直樹の力作だが、難解に過ぎるとして不評であった。途中で投げ出す同人が多かったようだ。
■プロローグの6ページを読んで興味を惹かれたが、本文に入って歯が立たず悪戦苦闘、91ページ目でギブアップ。大正天皇崩御に関わる改元騒ぎで、東京日日新聞(現・毎日新聞)がすっぱ抜いた「光文」が誤報で大スキャンダルになり、編集局長の首が飛んだ。元号の重い意味を理解した。
■京都洛北の八瀬村の民が古代から600年間、天皇の棺を担いできたという驚きと、森鴎外の改元への深いかかわりが興味深かった。また改元で実施される恩赦は古来、天皇の名で行われてきたもの。終戦時はマッカーサー元帥がこれに代わって恩赦を発し、天皇に対する価値観が変わった。
■全編を読み通した。森鴎外が改元にこれほど絡んでいたとは知らなかった。いちばん面白かったのは、日本のチベット・島根で起きた単発クーデターである。
■最初と最後だけ読んだ。毎日新聞の杉山記者がスッパ抜いた「光文」は誤報だったと分かり大混乱、元号とはこんなにもすごいものなのかと驚いた。自分の名の「昭」の由来を父にただしたかった。元号など要りません、西暦でいいでしょう。
■難しい! いったい元号とはそんなに大事なものなのか。西暦でいいではないか。この作品は猪瀬直樹の右翼的発想だと思う。
■読書会とは知らずに事務所に来た。自分の会社では今年から元号をやめ、西暦を採用することになった。