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第73回読書会 平成29年3月9日(木)荻原浩『海の見える理髪店』集英社

第155回直木賞受賞作品『海の見える理髪店』を取り上げた。この作者は初めて読む。読後感が良かった、と好評を博した。

■登場人物は二人。親父の問わず語りと、息子の心理は地の文章で語られる。戦中から戦後にかけての世相が映され、慎太郎刈りが一世を風靡し床屋が大繁盛、ビートルズの出現で長髪が流行り、稼業は落ち目を迎える。脇役の俳優が渋く、いい味を出している。客のつむじの形、頭の傷を見て、別れた自分の息子だと分かるエンディングは秀逸である。
「お母様はご健在ですか」
ええ。亭主が黙り込み、ドライヤーの音だけになった沈黙を破って、ぼくは声をあげた。
「来週、結婚式があるんです」
■これまで歩いてきた自分の一生を振り返っている実感があり、小説の世界に引きずりこまれた。鏡に海を映して客に見せる、何とも切ない。6作品のうちでは『成人式』が特によかった。新成人と一緒に写真を撮るシーンなど、秀逸である。
■淡々と読者に語り掛ける読みやすい文章で、面白く読んだ。二人が親子だったと最後に気づくのだが、この辺りの語り口はうまい。表題作が一番良かった。他の作品はもう一つ。『成人式』に至ってはぶっ飛んだ。
■床屋の親父の問わず語りで、ストーリーが進む。最初は冗漫な語り口だが、次第に引き込まれ、聞き終わると、爽やかな読後感に浸っている自分がいた。客の首にカミソリを当てるシーン、鏡の中の女房の手を握ろうとしても左右が逆でどうしても握れない件等、秀逸な描写が印象に残った。
■最初の3作品がとてもよかった。表題作では、床屋の亭主と客が親子だったと分かる件は、思わず泣けてしまった。自分が今あるのは、父や母や祖父、祖母たちが背中を押してくれたからだと、そんな感謝の気持ちを思い起こさせてくれた作品である。
海の見える理髪店
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