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第99回読書会 令和4年9月8日(木)西村賢太『苦役列車』新潮文庫

第99回読書会は、第144回芥川賞受賞作、西村賢太『苦役列車』を取り上げた。
■複雑な家庭事情から、中学を卒業すると同時に日銭の入る人足仕事に身をやつし、そのあけっぴろげな人生の底辺をさらけ出して第144回芥川賞を取った。旧来の一連の芥川賞作品とは一線を画し、久しぶりに手ごたえのある小説を読んだ。選考会では石原慎太郎が強く推し、受賞に至った。
■内面を赤裸々に吐露した私小説で、石原慎太郎が激賞したが、昨2021年、心臓疾患で早世した。人夫仕事で日銭を稼ぎ、その日暮らしの放埓な生活を送りながら、私小説作家・藤沢清造に師事して執筆、芥川賞に輝いた。現在、藤沢清造の『根津権現裏』を読んでいるところだが、西村賢太顔負けの破天荒な作家で、なるほどと、納得がいった。
■家康の人生観「人生は重石を背負って遠き道をゆくがごとし」を地で行く作家だ。彼の文学手法は、彼独特の言い回し、起承転結のない構成、場面々々の連続描写で流れを作るストーリー展開である。奇も衒いもないあけっぴろげな文章も魅力。
■この作家の生きざまは、以前、読書会で取り上げた長山則夫を彷彿とさせる。ともに不幸な生い立ちを背負い、子どもに不可欠なビタミン剤・母親の愛が欠如していた。長山則夫は母の愛があれば死刑囚にはならなかったろうし、西村賢太も、もっと高学歴に進んで広いジャンルの小説が書けただろう。才能があるだけに惜しまれる。
■中学出でこれだけの文章、小説が書けるのかと、驚きである。不幸な生い立ちは性犯罪者の父親、ふしだらな母親にある。計画性ゼロの男だ。母親が愛情を注げば、こんな破天荒な人生は歩まなかっただろう。
■これまで読んだ小説の中ではいちばん読みづらかった。出鱈目ともいえる生きざまはまるで計画性がなく、この小説も何が言いたいのか、作者が何を目指しているのか、さっぱりわからぬ。
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第98回読書会 令和4年7月14日(木)今村翔吾「塞王の楯」(集英社)

たかが石、されど石。城の石垣を築く石工と、鉄砲鍛冶の息詰まる攻防を描き、第166回直木賞を取った作品。550頁の大分な物語は読み応え十分。

■お城に興味があり、とても面白く読んだ。特に京極高次という戦国大名のしたたかさに舌を巻く。まさに怪物。女の尻の光で数奇な運命を乗り切り、「蛍大名」と蔑視されるが、実は人心掌握の名手。石工集団・飛田屋と鉄砲鍛冶集団・国友衆との攻防が活写され、読み応えのある力作。
■時は関ヶ原前夜、場所は琵琶湖の畔・大津城。東軍の捨て城として京極高次が西軍を迎え撃つ。圧巻はラストの石工集団・飛田屋と鉄砲鍛冶集団・国友衆の息詰まる攻防戦。城壁の要石が割れ,大筒が過熱で火を噴く。楯と矛は引き分けに終わる。
■作品に興味を持ったのは、主人公が武士ではなく、城壁を築く石工である点。大津城主・京極高次と妻のお初(母は信長の妹・お市の方)の、家臣や領民を思いやる、ほのぼのとした情感が伝わってきて、殺伐とした関ヶ原の戦い前夜の血なまぐささを和らげている。無駄な石など一つもない。大小の石が幾何学的、有機的に重なり合って強靭な石垣を作る。人間も同じ。これが人の和に通じる。
■550頁の長編、何とか読み切った。石工集団・飛田屋の門外不出の築城技術は、石の切り出し、運搬、積み上げの三つの工程に独特の工夫を凝らした、プロ集団の技術である。読み応えのある力作といえる。
■一片の石をテーマに、よくもここまで描いたと感服。石を積み上げるのにもいろいろな手法があり、勉強になった。まだ半分までだが、後半しっかりと読む。
■半分まで読んだが、城壁の石がテーマで、興味を持った。日本固有の石垣技術、作者は面白い点に目を付けた。
塞王

第97回読書会 令和4年5月12日(木)井沢元彦『逆説の日本史』⑦太平記と南北朝の謎(小学館文庫)

20年ほど前に500万部を売ったベストセラー作品。作者は『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を取った井沢元彦。歴史の解説書として本日の読書会参加者には敬遠されたようだが、実は解説書ではなく、日本歴史の舞台を小説感覚で面白く捕えた、テンポの速い力作である。全22巻、大和朝廷から現代までの歴史の大きなうねりが大筋で理解できる。これだけ面白く読ませる作者の語り口、筆力を買う。

■あまり気が進まぬまま手に取り、読み始めた途端に引きずり込まれ100ページを読んで「なんだこれは!」と一気に読み終え、現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の舞台裏を知りたいと5巻『源氏勝利の奇跡の謎』を買いに走って、これも面白く読み終えた。司馬遼太郎『街道をゆく』全43巻に匹敵するシリーズもので、今年は『逆説の日本史』全22巻を買いそろえて第1巻から読むことにした。一読をお勧めする。
■日本で幕府を開いたのは頼朝・尊氏・家康の3人だけ。三者を比較すると、尊氏の人の好さがよく分かる。頼朝・家康にあって尊氏にないものは非情さであり、この温情主義が後に南北朝という大戦乱の時代に突入する原因を作った。三代将軍・義満の最大の功績は、金閣寺もさることながら、この南北朝を一つにまとめたことだろう。
■室町幕府三代将軍・足利義満の意外な面を知った。聖徳太子の17条憲法「和をもって尊しとす」の哲学が連綿と歴所の根底に流れ、それが現代の日本社会に生きているという事実を教えられた。
■こんな天皇だったのかと、後醍醐天皇の欠徳ぶりを痛罵しているのが面白い。ここではやはり三代将軍・義満が光っている。また、くじ引きで将軍になった五代将軍・義教の「恐怖の魔王」ぶりがすさまじい。
■歴史ものは登場人物が入り乱れて複雑怪奇、人間関係の把握が難しいのが難点。この作品も入り口でお手上げ。
■歴史はあまり好きではない。課題本を買って読み始めたが登場人物が多くて途中で投げた。司会者の推薦もあるのでこれから読み直す。
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第96回読書会 令和4年3月10日(木)澤田瞳子『若冲』文春文庫

1月はコロナ禍で中止となり、二カ月遅れの読書会となった。

■若冲は謎の多い絵師で、それだけ自由に想像を膨らませることが出来、小説になりやすい人物である。ここでは澤田瞳子が存分に筆を振るい、力作が生まれた。稼業も女房も捨て、絵に没頭した執念、情熱には鬼気迫るものがある。
■若冲は、錦市場の商家のボンボンとして育ったが、絵師としての才能は作者の想像通り、天才的資質を持っていたと思う。人物の中では特にお志乃が光っている。
■課題本を読む以前から、若冲には興味があった。狩野派と徹底的に戦い、最後に敗れたが、絵は狩野派の上を行くと思う。若冲の絵に対する情熱が迸る小説だ。
■面白く、一気に読んだ。これだけ絵に情熱を傾けられるのは、若冲が天才絵師だからだと思う。ラストが圧巻。
■だらだらと起伏のないストーリーが続き、途中で投げ出したくなったが、ラストの「日隠れ」の章でパッと光りを放ち、若冲と義弟・弁蔵との確執の真相が明らかにされる。ただ、弁蔵が一生をかけて若冲に復讐する動悸が少し弱いように思う。
■京都に若冲の展覧会を見に行き、思いをはせた。異常にすごい、としか言いようのない絵に対する情熱に脱帽。
■京都の博物館で水墨画のゾウの絵を見たが、この作品のカバーにある彼の代表作、鶏の絹本彩色画には、思わず息を呑んだ。特に、らんらんと光る目が一点を見つめる構図は戦慄が走る。
■実在の人物を作者の想像で存分に膨らませhttps://admin.blog.fc2.com/control.php?mode=editor&process=new#た力作。若冲の本心は最終章「日隠れ」の章に言い尽くされている。過日、若冲を偲び京都・伏見の街を散策して歩いた。
■まだ半分だけだが、読みやすい文章で面白く読んでいる。
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第95回読書会 令和3年11月11日(木)佐藤 究『テスカトリポカ』Kadokawa

隔月で開催している読書会だが、9月が新型コロナ禍で中止になり、今回は4ヵ月ぶり。課題本の第165回直木賞受賞作・佐藤 究『テスカトリポカ』は540ページ、1000枚を超す大作で、圧倒的な読者の賛同を得た。楽しみな作家である。次作も取り上げてみたい。
■まずそのスケールの大きさに圧倒された。メキシコのドラッグカルテル同士の殺戮、日本・インドネシアでの臓器売買、人間の内臓を神に捧げるメキシコの土着の宗教を背景に、映画の早撮りで、カット・カットと場面が変わるテンポの良さが魅力。久しぶりに読書の醍醐味を味わった。小説、かくあるべし。
■これ程広大無辺なエンタメ小説はかつて読んだことがない。作者の筆力に脱帽する。アステカ帝国の守護神テスカトリポカは皆既日食だったと分かって、その神秘性を失い、麻薬組織が崩壊する件に救いがある。
■インカ帝国の宗教観に興味があり、キリスト教とローカル原始宗教との対比で読んだ。小説に登場する中南米の人間と比べ、日本人はスケールが小さい。ラストでコシモが生き残ったのは、彼を主人公にした続編が出るのだと期待する。力作に巡り逢えた。
■NHKテレビ・BSプレミアム『決戦! タイムリミット』で、今年の芥川賞、直木賞の選考過程が取り上げられ、課題本も議論されていた。この小説は、テーマの可否と残虐な場面が多く、選考はもめたが、ラストに救いがある、との大方の意見でやっと受賞を見た。3分の1を読んだところで目を覆い、中断した。気を取り直して読み直し、ラストの493ページ、パブロがコシモをカヌーに乗せ、多摩川を下るシーンが泣けて、泣けてどうしようもなかった。ドンと胸に来る重い作品だった。
■外国文学の翻訳版かと思ったが、オリジナル日本文学で、その圧倒的筆力に引きずられ、一気に読んだ。前の発言者と同じく、ラストで泣けた。
■久々の大作を読んだ。グロテスクな程残虐だが、ラストで救われる。
■全部読んだ。話はめちゃくちゃ面白かったが、なんでこんな小説書くのか、作者の意図が良く分からない。
テスカトリポカ

第94回読書会 令和3年7月11日(木)栁美里『JR上野駅公園口』河出文庫

5月の読書会は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言期間中のため中止、7月は、まん延防止措置期間中であるが、何とか開催できた。
取り上げた栁美里『JR上野駅公園口』は、2020年の全米図書賞(National Book Award 翻訳文学部門)を受賞した作品だが、その割には、読書会での評価は低かった。フィクションとノンフィクションを取り交ぜた構成が、作品を分かりにくくしたようだ。

■上野公園周辺のホームレス老人の目を通して、彼を取り巻く通りすがりや仲間のホームレスとの関係と対比を横糸に、老人の生きざまの時間的経緯を縦糸に織りなす小説である。
主人公と同年齢である私は、時代背景等は共感できるが、他者からみればホームレスの人々が不幸で悲惨な状況の中にあるが、必ずしもそうでもないと思う。
老いが来るということは、社会から不必要であることを実感すること、あるいは実感させられることです。だから、作者のホームレスを題材としたこの作品が上っ面のものになったのは残念です。
全米で好評だったのは、日本人の宗教観や皇室感が庶民の目で描かれていて分かり易く、アメリカのホームレス問題とも対比できて高評価につながったと思う。
■フィクションとノンフィクションが混在しているため、分脈が捕らえにくい。主人公の底知れぬ悲哀、悲運への諦念、厭世主義はひしと伝わってくる。亡くなった一人息子は令和天皇と同じ誕生日。天皇の行幸で上野公園の山狩りに遭い、天皇家への怨嗟は深い。母親に「おめはよっぽど運がわるいんだべな」と言わしめる件は実感がこもる。
この小説は英文で読んだ方が分かり易いかも知れぬ。翻訳者泣かせの作品だったと思う。
■読んでいてストーリーの流れがつかめず、さっぱり分からなかった。最後に、主人公が生きているのか死んでいるのかも不明、訳の分からぬ小説だった。
■芥川賞作家らしく、表現力は見事だが、ストーリーの流れに起承転結がなく、ロンド形式の語りの手法がこの小説を分かりにくくしている。東京・上野駅のホームレスは大阪・天王寺動物園近くの彼らと実態が似ている。
■主人公の顔が見えず、苦労して読んだが、結局、文脈に乗れぬまま読み終えていた。ホームレスの実態は、芦屋・業平橋のたもとに小屋があったのでよく分かる。ホームレス稼業は1年暮らすのに10年分のエネルギーが要る、と関係者から聞いたことがある。
JR上野駅公園口

第93回読書会 令和3年3月11日(木)木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』文春文庫

2012年第92回オール読物新人賞受賞、2015年直木賞候補となった、木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』を取り上げた。物語の主人公は、戦国の3梟雄の一人、宇喜多直家で、斎藤道三、松永久秀と並ぶ食えない男である。その評価は? 以下合評(発表順)。

■権謀術数を以てなる宇喜多家に流れる裏切りの血が、四女の於葉の視点で描かれた読み応えのある作品。裏切り、だまし、ウソもここまでくれば生き残り戦略として見直さねばならぬ。木下昌輝の文章はきびきびとして切れがあり、場面展開もカット、カットで切り込むスピード感、躍動感で飽きさせない。直家が次にどんな裏切りに出るか、ミステリータッチで最後まで読者を引っ張る手法は、さすがにうまい。
■イントロ部分でウッ、と腰が引けたが、読み始めると引き込まれ、宇喜多直家の武人としての凄さが浮き彫りになって、一気に読み終えていた。4人の娘を戦略の小道具として使い捨てる直家、その実は良き父であり、良き夫であったと思う。かれを梟雄呼ばわりするなら、織田信長、秀吉はさしずめ梟雄の大横綱格といえる。
■直家は食えぬ男だが、このストーリーは面白く読んだ。嫁入りは攻略の道具でしかない戦国の習い。こんなことがあって良いはずがない。生物学者の福岡伸一先生によれば、「母乳の一滴を造るのに女性の身体はどれだけ体力を消耗するか、驚嘆する」という。
■面白かった。読後感はとても良かった。こういう小説が好きだ。
■読後感の良い小説だった。二度読み、初読のときは余りの裏切りに腹が立ったが、二度目で、娘4人を迷うことなく敵攻略の捨て嫁として使い捨てるそのあっけらかん哲学は、美学とも取れた。
■直家の凄惨さ、血まみれの裏切りは読んでいて怖くなり、途中でギブアップ。皆さんの批評を聞いていて考えが変わった。改めて読み直したい。
■反吐の出るような裏切り、卑劣さは読むに堪えない。古傷から血と膿の滲み出る奇病は天罰ともいえる。梟雄・宇喜多直家、食えない男だ。
■文章に品性がなく、読後感が悪い。下剋上、の一言で断ずるにしてもあまりにもえげつない。これは岡山県人の県民性か? ちがうだろう。
宇喜多の捨て嫁

第92回読書会 令和2年11 月12 日(木)馳 星周(はせせいしゅう)『少年と犬』文芸春秋

2020年度第163回直木賞受賞作品。読書会の出席者のなかで犬好きは一人、猫好きが一人。和犬とシェパードの雑種犬「多聞」が6人の飼い主と関わる6作品のアンソロジーで、平易な文体と人間的情緒を備えた犬と人間の交流、流浪を描いた好作品。作者は過去、何度も賞にノミネートされながら逃し、ついにこの作品で射止めた。

■面白い小説を読んだ。6作品の中でいちばん印象に残ったのは「夫婦と犬」。嫁さんと自分を置き換えてみて、このぐうたら亭主は自分だと思った。妻に何の見返りも施せぬ自分が情けない。もっと女房孝行をせねばと、反省させられた。私は犬よりも猫が好きだ。
■東北の震災で飼い主に死なれた多聞が、岩手から熊本を目指す流浪の旅の過程で6人の新しい飼い主と出会う。家族のために犯罪に手を染める被災者の若者、仲間割れを起こした外人窃盗団、壊れかけた夫婦、風俗嬢等々、多聞を通してさまざまな人間模様が語られ、ラストで、なぜ犬が南を目指していたのかが明かされる。エンディングはすこし創り過ぎの感もないではないが、どれも心に残る作品である。「娼婦と犬」では風俗嬢の美羽が多聞に託したメッセージがどうなったのかが語られていない。これを読み終え、興味を覚えて作者のデビュー作『不夜城』を買った。歌舞伎町を舞台にした中国マフィアの争いを描いた凄まじい話で、しばらくこの殺伐ジャンルが続いたが、『少年と犬』でようやく脱皮を遂げた。
■シェパードを飼っていたが震災で病死、以来,犬はやめた。主人公多聞はしつけの良さと飼い主への忠誠が強く、こんな犬ならまた飼ってみたいと思うが、愛犬を亡くした直後の痛みを思い出し、やめた。直木賞に相応しい小説である。
■昔は犬を飼っていたが、放ったらかしにして、そのうち死んでしまった。犬は人に飼われて幸せなのだろうか? 多聞は忠犬ハチ公を思い出させる。
少年と犬

2020年10月04日(日)初心者のための一日登山教室 安全に登山を楽しむために

新型コロナウイルス禍のため、春には中止となった「一日登山教室」が久しぶりに開催された。阪急芦屋川駅を出発、川沿いの山芦屋公園で挨拶と概要説明、参加者の自己紹介、体操のあと、高座の滝・イノシシ広場に向かった。
イノシシ広場では、各講師により、「地図読みとコンパスの使い方」「山の歩き方」「山の服装、登山靴、山の装備」「山の食料」の講義が行われた。
その後、班を分けてスタッフによる「岩登りの体験・指導」、その後昼食となった。
昼食の後、ロックガーデンを経て風吹岩に向かう。そこでは、立ち入り禁止は解除されてはいるものの、岩の一部が大きく崩壊しているのが見受けられる。集合写真の後、保久良梅林に向かう。
保久良梅林の広場には、組織部、教育部の皆さんの心のこもったティータイムが準備されていた。ここでクールダウンの体操と、教室参加者の感想をお聞きして教室を締めくくる。山歩きの後の疲れを癒しつつも、和やかなひと時を送ることができました。

第91回読書会 令和2年9月10日(木)石井妙子『女帝・小池百合子』文芸春秋

20万部以上のベストセラー『女帝・小池百合子』を取り上げた。女帝に対する評価はネガティブだったが、課題本への全体評価は「凄まじく面白い!」だった。

■圧倒的迫力で読ませる力作だ。小池百合子という、ブラックホール並みの質量を持った稀代の女性が自民党総裁選に敗れ、都知事、大臣までのし上がった軌跡を、3年の入念なインタビューを積み重ねて文章に紡いだ。これだけのしたたかさがなければ、政界では泳いでいけない。腐って汚れた人間はごまんといる。小池百合子はこれからも、何人もの男女の寝首を掻きながら、更なる高みを目指すだろう。
■小池百合子は一流の「詐欺師」である。その一丁目一番地はカイロ大学主席卒業と言う学歴詐称である。片言のアラビア語しか話せぬのに、現地人でも規定年限で卒業するのは難しいとされるカイロ大学を首席で卒業し、卒業生代表で答辞まで読んだ、等と、何をまあ抜け抜けと! しかし、久しぶりに面白い暴露本を読んだ。
■これまで彼女自身にあまり関心はなかった。コロナ騒ぎで急にマスコミの寵児となり、どんな人かと興味を覚え、図書館に行ったが400人待ち。読むうちにこれは事実か、と引きずり込まれ、一気に読んだ。読後感は、小池百合子は自分に正直に生きただけで、周囲で騒がれるほどの悪女感は覚えなかった。とにかく面白く読み終えた。
■女の武器を巧みに活かし、常に力のある人間にすり寄って生きる政界渡り鳥だ。彼女の政治遺産はクールビズのみ。小池百合子の致命的な欠陥は、相手に感謝する、この神経がスポンと抜け落ちていること。元々嫌いだったが、いっそう嫌いになった。
■小池百合子は、私のあこがれの女性だった。この本を読んで考えが一変した。嘘で塗り固めた人生、彼女の翼は、イカロスの翼だった。彼女が憎い。
■9分の一まで来たところで、嫌悪のむしずが走り、放り投げた。カイロ大学主席卒業の学歴詐称一つにしても、マスコミは何一つ追及していない。本来であれば、これだけ発信力のある政治家がこんな飛んでもない嘘をついたら大変な騒ぎになるはずで、それを追求しないマスコミも彼女に寝首を掻かれた一人だ。彼女には政治家としての理念も理想も情熱もなく、読み終えて残ったものは、言い知れぬ腹立たしさのみだった。
女帝小池百合子
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