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第93回読書会 令和3年3月11日(木)木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』文春文庫

2012年第92回オール読物新人賞受賞、2015年直木賞候補となった、木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』を取り上げた。物語の主人公は、戦国の3梟雄の一人、宇喜多直家で、斎藤道三、松永久秀と並ぶ食えない男である。その評価は? 以下合評(発表順)。

■権謀術数を以てなる宇喜多家に流れる裏切りの血が、四女の於葉の視点で描かれた読み応えのある作品。裏切り、だまし、ウソもここまでくれば生き残り戦略として見直さねばならぬ。木下昌輝の文章はきびきびとして切れがあり、場面展開もカット、カットで切り込むスピード感、躍動感で飽きさせない。直家が次にどんな裏切りに出るか、ミステリータッチで最後まで読者を引っ張る手法は、さすがにうまい。
■イントロ部分でウッ、と腰が引けたが、読み始めると引き込まれ、宇喜多直家の武人としての凄さが浮き彫りになって、一気に読み終えていた。4人の娘を戦略の小道具として使い捨てる直家、その実は良き父であり、良き夫であったと思う。かれを梟雄呼ばわりするなら、織田信長、秀吉はさしずめ梟雄の大横綱格といえる。
■直家は食えぬ男だが、このストーリーは面白く読んだ。嫁入りは攻略の道具でしかない戦国の習い。こんなことがあって良いはずがない。生物学者の福岡伸一先生によれば、「母乳の一滴を造るのに女性の身体はどれだけ体力を消耗するか、驚嘆する」という。
■面白かった。読後感はとても良かった。こういう小説が好きだ。
■読後感の良い小説だった。二度読み、初読のときは余りの裏切りに腹が立ったが、二度目で、娘4人を迷うことなく敵攻略の捨て嫁として使い捨てるそのあっけらかん哲学は、美学とも取れた。
■直家の凄惨さ、血まみれの裏切りは読んでいて怖くなり、途中でギブアップ。皆さんの批評を聞いていて考えが変わった。改めて読み直したい。
■反吐の出るような裏切り、卑劣さは読むに堪えない。古傷から血と膿の滲み出る奇病は天罰ともいえる。梟雄・宇喜多直家、食えない男だ。
■文章に品性がなく、読後感が悪い。下剋上、の一言で断ずるにしてもあまりにもえげつない。これは岡山県人の県民性か? ちがうだろう。
宇喜多の捨て嫁
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第92回読書会 令和2年11 月12 日(木)馳 星周(はせせいしゅう)『少年と犬』文芸春秋

2020年度第163回直木賞受賞作品。読書会の出席者のなかで犬好きは一人、猫好きが一人。和犬とシェパードの雑種犬「多聞」が6人の飼い主と関わる6作品のアンソロジーで、平易な文体と人間的情緒を備えた犬と人間の交流、流浪を描いた好作品。作者は過去、何度も賞にノミネートされながら逃し、ついにこの作品で射止めた。

■面白い小説を読んだ。6作品の中でいちばん印象に残ったのは「夫婦と犬」。嫁さんと自分を置き換えてみて、このぐうたら亭主は自分だと思った。妻に何の見返りも施せぬ自分が情けない。もっと女房孝行をせねばと、反省させられた。私は犬よりも猫が好きだ。
■東北の震災で飼い主に死なれた多聞が、岩手から熊本を目指す流浪の旅の過程で6人の新しい飼い主と出会う。家族のために犯罪に手を染める被災者の若者、仲間割れを起こした外人窃盗団、壊れかけた夫婦、風俗嬢等々、多聞を通してさまざまな人間模様が語られ、ラストで、なぜ犬が南を目指していたのかが明かされる。エンディングはすこし創り過ぎの感もないではないが、どれも心に残る作品である。「娼婦と犬」では風俗嬢の美羽が多聞に託したメッセージがどうなったのかが語られていない。これを読み終え、興味を覚えて作者のデビュー作『不夜城』を買った。歌舞伎町を舞台にした中国マフィアの争いを描いた凄まじい話で、しばらくこの殺伐ジャンルが続いたが、『少年と犬』でようやく脱皮を遂げた。
■シェパードを飼っていたが震災で病死、以来,犬はやめた。主人公多聞はしつけの良さと飼い主への忠誠が強く、こんな犬ならまた飼ってみたいと思うが、愛犬を亡くした直後の痛みを思い出し、やめた。直木賞に相応しい小説である。
■昔は犬を飼っていたが、放ったらかしにして、そのうち死んでしまった。犬は人に飼われて幸せなのだろうか? 多聞は忠犬ハチ公を思い出させる。
少年と犬

2020年10月04日(日)初心者のための一日登山教室 安全に登山を楽しむために

新型コロナウイルス禍のため、春には中止となった「一日登山教室」が久しぶりに開催された。阪急芦屋川駅を出発、川沿いの山芦屋公園で挨拶と概要説明、参加者の自己紹介、体操のあと、高座の滝・イノシシ広場に向かった。
イノシシ広場では、各講師により、「地図読みとコンパスの使い方」「山の歩き方」「山の服装、登山靴、山の装備」「山の食料」の講義が行われた。
その後、班を分けてスタッフによる「岩登りの体験・指導」、その後昼食となった。
昼食の後、ロックガーデンを経て風吹岩に向かう。そこでは、立ち入り禁止は解除されてはいるものの、岩の一部が大きく崩壊しているのが見受けられる。集合写真の後、保久良梅林に向かう。
保久良梅林の広場には、組織部、教育部の皆さんの心のこもったティータイムが準備されていた。ここでクールダウンの体操と、教室参加者の感想をお聞きして教室を締めくくる。山歩きの後の疲れを癒しつつも、和やかなひと時を送ることができました。

第91回読書会 令和2年9月10日(木)石井妙子『女帝・小池百合子』文芸春秋

20万部以上のベストセラー『女帝・小池百合子』を取り上げた。女帝に対する評価はネガティブだったが、課題本への全体評価は「凄まじく面白い!」だった。

■圧倒的迫力で読ませる力作だ。小池百合子という、ブラックホール並みの質量を持った稀代の女性が自民党総裁選に敗れ、都知事、大臣までのし上がった軌跡を、3年の入念なインタビューを積み重ねて文章に紡いだ。これだけのしたたかさがなければ、政界では泳いでいけない。腐って汚れた人間はごまんといる。小池百合子はこれからも、何人もの男女の寝首を掻きながら、更なる高みを目指すだろう。
■小池百合子は一流の「詐欺師」である。その一丁目一番地はカイロ大学主席卒業と言う学歴詐称である。片言のアラビア語しか話せぬのに、現地人でも規定年限で卒業するのは難しいとされるカイロ大学を首席で卒業し、卒業生代表で答辞まで読んだ、等と、何をまあ抜け抜けと! しかし、久しぶりに面白い暴露本を読んだ。
■これまで彼女自身にあまり関心はなかった。コロナ騒ぎで急にマスコミの寵児となり、どんな人かと興味を覚え、図書館に行ったが400人待ち。読むうちにこれは事実か、と引きずり込まれ、一気に読んだ。読後感は、小池百合子は自分に正直に生きただけで、周囲で騒がれるほどの悪女感は覚えなかった。とにかく面白く読み終えた。
■女の武器を巧みに活かし、常に力のある人間にすり寄って生きる政界渡り鳥だ。彼女の政治遺産はクールビズのみ。小池百合子の致命的な欠陥は、相手に感謝する、この神経がスポンと抜け落ちていること。元々嫌いだったが、いっそう嫌いになった。
■小池百合子は、私のあこがれの女性だった。この本を読んで考えが一変した。嘘で塗り固めた人生、彼女の翼は、イカロスの翼だった。彼女が憎い。
■9分の一まで来たところで、嫌悪のむしずが走り、放り投げた。カイロ大学主席卒業の学歴詐称一つにしても、マスコミは何一つ追及していない。本来であれば、これだけ発信力のある政治家がこんな飛んでもない嘘をついたら大変な騒ぎになるはずで、それを追求しないマスコミも彼女に寝首を掻かれた一人だ。彼女には政治家としての理念も理想も情熱もなく、読み終えて残ったものは、言い知れぬ腹立たしさのみだった。
女帝小池百合子

第90回・読書会 令和2年7月9日(木)浅田次郎『おもかげ』毎日新聞出版

5 月14 日開催予定だった第90 回読書会はコロナ禍で中止となり、課題本『白夜を旅する人々』も絶版で入手困難であったため、改めて本日、浅田次郎『おもかげ』に切り替え合評を行った。合評後のハーバーランド「旬華」は21:00閉店、以前の賑わいが戻っていた。

■浅田次郎らしい憎い終わり方で、後ろ髪を引かれる作品だった。感想は、自分も死ぬときは一生を振り返り、幸せな人生だったと思って死にたい。エンディングで、主人公がICUのベッドで意識を取り戻し、三途の川から引き返す場面に救いがある。
■いつものオカルト・タッチの作品で、読後感の良い小説である。主人公は最後に生き返るのだが、生きてもう一度同じような人生をやり直すのだろうか? であれば、またつらい生き方を強いられ、必ずしもハッピーではあるまい。最近では『倒産大名』を読んだ。作者の幅広いジャンルをこなす創作力に感心する。特に印象に残るのは『蒼穹の昴』という中国を舞台にした力作。
■企業戦士の生き様をみごとに描いている。職場が川重だったので、それがよくわかる。たまたま古本で『白夜を旅する人たち』が手に入ったので、それも面白く読んだ。白癜(しろなまず)の遺伝に恐怖する一家離散の暗い物語だ。
■浅田次郎ファンタジーの世界。自分と同年代の主人公の生き様には考えさせられる。孤児院育ちで両親の顔を知らぬ、この設定が小説の支えになっている。
■登場する人物はすべて善人で、仏のような人間ばかり。主人公・竹脇正一の死のベッドを見舞う、訪問客の視点でとらえた多視点小説で、その一人ひとりによって語られる過去から、徐々に話の全貌が見えてくる。舞台は、終戦直後と現代の地下鉄・銀座線である。過去と現在が目まぐるしく交錯し、浅田次郎独特のシュールな世界に引きずり込まれる。圧巻は終章「黄色いゆりかご」。始発・渋谷駅から乗った15歳の峰子が、自ら生んだ乳飲み子に乳をふくませながら、終点浅草の2つ手前「稲荷町駅」で赤子をシートに捨て去る件は、浅田次郎の真骨頂だ。浅草で生まれ育ったぼくには、黄色い電車が軋りながら渋谷を出発し、青山から赤坂見附、銀座、上野、稲荷町と浅草に近づく様子が手に取るように分かり、イメージが彷彿として、涙が止まらなかった。地下鉄・銀座線は作者が好んで使う小道具の一つで、『メトロに乗って』他、多くの作品に登場する。
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第89回読書会 令和2年3月12日(木)大岡昇平『事件』創元推理文庫

新型コロナウイルス蔓延のなかを6人が集まった。第二次世界大戦開戦前夜を思わせる殺伐、混沌とした世相の片隅で、こういうサークルが活動していることをうれしく思う。

■あえてドキュメンタリー手法を取り、検事、弁護士、裁判官の3者の視点で話を展開したことで、裁判の起承転結がよくわかる。力作の長編小説に仕上がっている。
■楽しく読める小説である。日本の裁判は、関係者が事前にある程度談合し、量刑の落としどころを決めて進行するものだが、この作品は真っ向から検事、判事、弁護士がぶつかり、法廷での真剣勝負を演じて迫力がある。「傷害致死」という判決は妥当な線だろう。
■犯人はすでに自白しており、弁護士はどこを落としどころに考えているのかと、その一点に引きずられて読んできたのだが、大逆転には至らず、「傷害致死」で決着する。この辺りがすこし物足りない。
■菊池弁護士が、法廷で検事側証人の証言を次々に覆していく過程が痛快で、ぐいぐい読者を引きこむ。エンディングでどんでん返しを期待していたのだが、平坦な落ちで、若干の不満を覚える。
■大分な長編でしんどかったが、次第に引きこまれ、知ら間に読み終えていた。検事と弁護士との丁々発止が素晴らしい。
■読んでいないが、家に閉じこもりっきりで人恋しく、みんなと酒を飲もうと参加した。
大岡昇平事件

第88回読書会 令和2年1月9日(木)白川 静『漢字百話』中公新書

2004年12月から始まった読書会は今年で16年目を迎える。5月に90回、人間でいえば卒寿である。
これまでに取り上げた課題本は90冊を超え、希しくも神戸中央山の会結成40周年と重なる。今後ともこの読書会報告が、会員諸氏の読書の一助となればと、願っている。
第88回課題本「漢字百話」は、難解、専門的すぎると敬遠された感がある。

■白川 静博士が5万語近いといわれる漢字の世界を分析し、ほぼ一生をかけて理論化し、体系づけた画期的な漢字研究本である。この研究の成果で、ひらがな、カタカナを持たぬ中国の苦悶、ジレンマが伝わってくる。
■漢字の成り立ちを面白おかしく語る教養文庫と思ったが、実は「漢字文化論」という高いレベルで捕えた哲学書に近い。ここまで分析した努力は買うが、難解過ぎて一般には不向き。
■膨大な漢字の起源の解説は宗教じみている。現代のスマホ社会では漢字は本来の意味から離れ「記号」になってしまうと思う。
■3分の2まで読んでギブアップ。この本で語られる漢字とは「言霊」の世界で、「漢字教」という宗教に近いと思った。
■早く買ったのだが、難解でギブアップ。「道」という字は恐ろしい字で、敵の首を携えてゆく、という意味と知った。
■本を買い、50ページまで読んだが、まるで理解できず、お手上げだった。
■難しくほとんど読んでいない。感想といえば、私の名前の漢字の原型は何だろう? と考えたくらい。
漢字百話

第87回読書会 令和元年11月14日(木)高村薫『レディ・ジョーカー』新潮文庫

今年最後の読書会、課題本は『レディ・ジョーカー』。『マークスの山』で直木賞を取った、作者の絶頂期の作品で、この作品を機に、高村薫は宗教色の濃い観念小説へとシフトしてゆく。
■江崎グリコの社長誘拐事件にヒントを取った作品で、手口も同じ。二度目だが上巻のイントロ部分の20ページがハードルで、これを越えれば一気に読める。ここは事件の発端となる重要な枕で、欠かせない。政財界の裏社会にうごめく総会屋、暴力団、フィクサー、新聞記者などの権謀術策の泥仕合の果てに、ラストがくる。ヨーちゃんが「レディ、トマトだよ!」と叫ぶ件が圧巻。胸のすく力作である。
■震えるような感動と哀切感、心洗われる読後感とともに読み終えた。作者の計り知れぬ構想力に脱帽である。スト―リーの8割は誘拐事件だが、その背後に潜む政界、財界、闇社会の恥部を暴いて、ラストは息を飲む。
■人物のプロフィール、彼らの行動原理の背景が良くわかって、一気に読めた。被差別部落出身、という些事が日本中をひっくり返す大事件に発展してゆく過程が心憎いほど巧みに描かれている。多数の登場人物の中で、加納祐介という東京地検・検事の存在が心に残る。
■面白かった。特に、事件の進展につれて浮き出る5人の犯人の微妙な心の変化を面白く読みとった。登場人物では、旋盤工のヨーちゃんが興味深いキャラだ。
■とにかく長編で、時間がかかったが読み切った。読み応えのある小説だった。人物では日の出ビール社長の城山恭介の人格に惹かれた。
■出版初期に読み、その後ドラマ化されたものをDVDで見た。今回は読み直していない。『マークスの山』『照柿』『黄金を抱いて飛べ』など、高村作品は数多く読んできた。
■一冊目しか読んでいない。先ず、上巻のイントロ部分で足踏みしている。『マークスの山』はすんなりと入っていけたのにと逡巡している。残りも必ず読みたい。
■今日、3冊買い求めてきた。皆さんの感想を聞きながらこれから読みたい。

レディジョーカー

第86回読書会 令和元年9月12日(木)福岡伸一『生物と無生物とのあいだ』講談社現代新書

今回は小説から離れ、生物学・DNA論のエッセイを読んだ。難解との声が多かったが、非常に示唆的との評価もあり、まずは好評だった。
■生命の本質であるDNAの解説をしながら、現代のノーベル賞受賞者の息詰まる研究課程を明らかにする。受賞者の栄光と選に漏れた人々の挫折、不遇は紙一重である。ロザリンド・フランクリンが、受賞の一端が自分の研究によるものと知らずに、亡くなった彼女が哀れである。
■作者は生物学者だが、味わいのある文章が魅力だ。多くの研究者が新事実を発表し、その事実を踏み台にして最後に聖杯のありかを突き止めた者がノーベル賞に輝く。
■とにかく難しかったが、DNAの解説書を片手に最後まで読みきった。本論よりも合間に語られるエピソードや比喩、事例が面白かった。特にノーベル賞受賞の経緯については、小説を読んでいるようでスリルがあった。
■福岡伸一先生の大ファンである。NHKスペシャルにも出演している。人間は40兆個以上の細胞でできているそのメカニズムは、まさに神秘。自分は一卵性双生児で、姉とはDNAが全く同じであり、ときどき、説明のつかぬ心霊体験を姉妹間でしたことがある。先日、脳死の女性が、無事に赤子を出産した記事を読み、甚く共鳴した。
■生物学と数学の世界に放り込まれたようで、難解極まりなかった。主題はタンパク質の行動パターンの解明で、人間一人を創造できる最先端技術の世界だ。ノーベル賞受賞合戦は、まさに誰が最後のジグソーパズルの一片を先に探し当てるかで決まる。
■難しすぎて理解できなかった。心に残ったのは、著者がエピローグ部分で披露している子供の頃の思い出の件である。トカゲの赤ちゃんを見つけ、巣から取り出して観察するうちに死なせてしまったことを、痛恨の極みとして反省している、という。
■難解過ぎてなかなか進まず、いまDNAの箇所で止まっている。取りあえずは最後まで読み通したい。
生物と無生物のあいだ

第85回読書会 令和元年7月11日(木)宮城谷昌光『華栄の丘』文春文庫

初めて取り上げる直木賞作家・宮城谷昌光の『華栄の丘』を読んだ。中国史は複雑な人間関係、国同士の駆け引き、歴史の遠大さ、人名がすぐに読めない等、ハンデはあるが、概して好評だった。
■宮城谷昌光が好きで、彼の中国歴史物語をよく読む。春秋時代は後の戦国時代と違って時代がゆったりと流れ、戦場での礼儀作法も重視されて、人間が活き活きとしているように思う。反面、戦国時代は殺伐としていて、中国史の豊かさ、奥の深さを物語っている。作者は中国史ばかりでなく、『三河物語』なども書いている。圧巻はやはり『三国志』、『太公望』だろう。
■紀元前7世紀の春秋時代・宋の国の番頭役華元を主人公にした物語で、『宋襄の仁』の諺の出所だと知った。登場人物の多さ、国の多さが錯綜して頭が混乱状態に陥り、戦略を変えて主人公華元の行動だけを追い、無事、読み終えた。作者の筆力は素晴らしい。
■人物名、国の名前が錯綜としてストーリーが頭に入らず、ひたすら主人公・宋の華元の背中を追った。春秋時代の権力者たちは敵国、同盟国との腹の探り合いに終始し、作者もそこに筆を割いて、一兵卒の思考、行動パターンには一切触れていない点が物足りない。紀元前700年代の当時も今も、人間の考えることは同じだ。
■後半の件で、華元は御者に羊の肉を食わせなかったことで恨みを買い、裏切りに遭って九死に一生を得るのだが、この御者を許す華元の心理が全く理解できない。
■図書館で借りだして今読んでいる最中だ。中国史は苦手で、国の多さ、登場人物の多さ、名前の難解さ等で四苦八苦しながら、「地の章」にきて、やっと面白くなってきた。華元の人間分析力の凄さに舌を巻く。最後まで読み切るつもりだ。
栄華の丘
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